だから、40,000円に上げたら8件くらい取れるかなと思って、日予算を40,000円まで上げました。
ちなみに、CPA以外の数字は見た?
まず数字を分解して見てみよう。
① 広告運用者が陥るワナ|CPAが良かったから予算を増やしたのに…
先ほどの田中くんは、CPA5,000円でCVを獲得できていました。
そこで、 「CPA5,000円なら、日予算40,000円にすれば8件くらい取れるのでは?」 と考えて予算を増やしました。
計算だけを見ると、
=
日予算 40,000円
なので、一見すると成立しそうです。
ところが、数日後。
CPAは7,000円、8,000円と上がってきました。
すると今度は、 「予算を増やしたらCPAが悪くなった。目標CPAを超えそうだから止めよう」 と考えてしまいます。
ここには、広告運用で陥りやすい2つの考え方があります。
② 予算を増やしてCPAが上がったなら、広告を止めた方がいい
でも、本当にそうなのでしょうか。
まず覚えておきたいのは、 日予算を増やしても、同じCPAを維持したままCVが比例して増えるとは限らない ということです。
そして、もうひとつ大切なのが、 CPAが上がったからといって、それだけで「広告が悪くなった」とは判断できない ということです。
CPAは、広告運用のさまざまな要因が組み合わさった「結果」です。
「CPAが上がった」
で終わらず、
「なぜCPAが上がった?」
上がった・下がっただけで判断せず、まず「なぜ?」を考えよう。
② 本当にそう?|広告費とCV数は比例しない
日予算5,000円でCPA5,000円だった広告を、日予算40,000円まで増やしたとします。
理想としては、
CPA:5,000円
CV:8件
となってほしいところです。
でも実際には、
CPA:8,000円
CV:5件
のような結果になることもあります。
つまり、 広告費を8倍にしたからといって、CV数も8倍になるとは限らない ということです。
では、 「予算を上げるとCPAは必ず悪化するの?」 というと、これも違います。
予算を増やしてもCPAを維持できる場合もあれば、少し上がる場合もあります。
大切なのは、 「予算を増やせばCVも同じ割合で増える」と決めつけないこと です。
「5,000円で1件=40,000円で8件」とは考えないようにしよう。
③ なぜそうなる?|追加のCVにはコストがかかる
では、なぜ予算を増やすとCPAが高くなることがあるのでしょうか。
ここでは分かりやすく、 「追加のCVを獲得する」 という視点で考えてみます。
日予算5,000円のときに獲得できていたCVだけでは、予算を40,000円にしたときの配信量をまかなえません。
さらにCVを増やすためには、これまで以上に多くの配信機会を探す必要があります。
↓
より多くの配信機会を探す
↓
ユーザー・時間帯・掲載面・オークションなどの機会が広がる
↓
追加のCVを獲得する
↓
追加CVの獲得コストが高くなることがある
もちろん、 予算を増やせば必ずCPAが上がる という意味ではありません。
大切なのは、 追加で獲得するCVのコストが、これまでと同じとは限らない ということです。
「最初の1件」と「追加の1件」は同じCPAとは限らない
たとえばイメージとして、
11〜20件目:CPA 7,000円
21件目以降:CPA 9,000円
となることがあります。
広告予算を増やすということは、 今まで取れていたCVをそのまま増幅するのではなく、追加のCVを新しく取りにいく と考えると分かりやすくなります。
新しいCV機会を探しにいく、と考えよう。
④ 具体例|CPAが上がったとき、何が起きている?
では実際にCPAが悪化したとき、どの数字を見ればよいのでしょうか。
ケース1|CTR・CVRがほとんど変わっていない
| CPA | CTR | CVR | |
|---|---|---|---|
| 予算変更前 | 5,000円 | 2.0% | 5.0% |
| 予算変更後 | 7,000円 | 2.0% | 4.8% |
CTRもCVRも大きく変わっていません。
そのため、 「広告クリエイティブが急に悪くなった」 とまでは言い切れません。
CPMやCPC、配信量の変化など、ほかの要因も確認します。
ケース2|CTRが大きく落ちた
| CPA | CTR | |
|---|---|---|
| 予算変更前 | 5,000円 | 2.0% |
| 予算変更後 | 7,000円 | 1.0% |
この場合は、 広告への反応そのものが弱くなっている可能性 があります。
クリエイティブの訴求、画像、コピー、配信対象との相性などを確認します。
ケース3|CTRは変わらないがCVRが落ちた
| CTR | CVR | |
|---|---|---|
| 予算変更前 | 2.0% | 5.0% |
| 予算変更後 | 2.0% | 2.0% |
広告はクリックされていますが、その後CVしにくくなっています。
この場合は、
広告とLPの内容にズレがないか
流入しているユーザー層が変わっていないか
フォームやオファーに問題がないか
大切なのは、 CPAという結果だけを見るのではなく、その結果になった理由を分解して考えること です。
CTR・CVR・CPMに分解して、「どこが変わった?」を見よう。
⑤ 私ならどう判断する?|CPAだけでは決めない
CPAが上がったとき、私はCPAだけを見て広告を止める判断はしません。
まず確認するのは、
CTR
CVR
CPM
CV数
予算変更前後の推移
そして、 「何が変わったことでCPAが上がったのか?」 を考えます。
日予算は、一気に上げずに数値を見ながら増やす
成果の良い広告が見つかった場合も、私は一気に大幅な予算変更をするのではなく、 数値を確認しながら段階的に増やす ことがあります。
たとえば住宅広告では、
↓
6,000円
↓
7,000円
↓
8,000円
のように、1,000円程度ずつ増やすこともあります。
ただし、 「必ず1,000円ずつ上げるべき」 という意味ではありません。
広告費の規模によって、1,000円の意味は変わるからです。
大切なのは、 一気に大幅な変更をせず、数字の変化を確認しながらスケールすること です。
「CPAが上がった=失敗」とは考えない
予算を増やしていくと、目標CPAや許容CPAを超えることもあります。
たとえば目標CPAが10,000円だったとします。
日予算10,000円 → CPA 7,000円
日予算15,000円 → CPA 9,000円
日予算20,000円 → CPA 12,000円
日予算20,000円まで増やしたところで、目標CPA10,000円を超えました。
では、 「CPA12,000円になったから、この検証は失敗」 なのでしょうか。
この結果からは、
20,000円まで増やすと現状では効率が悪化しやすい
ということが分かります。
もちろん、許容CPAを超えたまま配信を続けるという意味ではありません。
大切なのは、 「許容CPAを超えた」という結果から、何が分かったのかを考えること です。
たとえば、
今のクリエイティブだけでは、これ以上の拡大は難しいかもしれない
別の訴求を追加すれば、さらにCVを増やせるかもしれない
LPやターゲットを改善すれば、もう一段スケールできるかもしれない
と、次の仮説につなげることができます。
結果を「成功・失敗」だけで終わらせず、次の判断材料に変える。
それが、検証をPDCAにつなげる考え方です。
「どこまでなら伸ばせる?」を知る材料に変えよう。
⑥ NG / OK|「CPAが上がったから停止」でいい?
CPAが上がったときに、
↓
広告が悪くなった
↓
広告停止
↓
新しい広告へ
と判断すると、 なぜCPAが上がったのか分からないまま 次へ進んでしまいます。
ポイントは、 「CPAが上がった」ではなく、「なぜ上がったのか」「何が分かったのか」まで考えること です。
「最適化」と「検証」も分けて考える
もうひとつ意識したいのが、 「広告成果を最大化するための最適化」と「違いを確認するための検証」は目的が違う ということです。
たとえば、同じ広告グループや広告セットの中に広告A・B・Cを入れると、広告プラットフォームが成果を見ながら配信量を偏らせることがあります。
これは、成果を最大化するための最適化としては便利です。
一方、 「広告Aと広告Bのどちらが良かったのか?」 を比較したい場合は注意が必要です。
広告B:インプレッション2,000 / CV1件
この場合、CV数だけを見て「広告Aの勝ち」と単純には判断できません。
そもそもの配信量が大きく違うからです。
ABテストをするときは、
コピーだけを変える
訴求だけを変える
など、 「何を検証したいのか」を決め、できるだけ比較条件を揃える ことが重要です。
「なぜ悪化した?」が分からないまま次へ進まないようにしよう。
⑦ まとめ|「CPAが上がった」で終わらず、「なぜ?」まで考える
1.広告費とCV数は比例するとは限らない
日予算5,000円で1件獲得できても、40,000円で8件獲得できるとは限りません。
追加のCVを獲得するコストが、これまでと同じとは限らない からです。
2.CPAが上がっただけで広告を止めない
CPAはあくまで「結果」です。
CTR、CVR、CPMなども確認しながら、 なぜCPAが上がったのか を考えます。
3.結果を次の判断につなげる
広告運用では、すべての検証が狙い通りになるとは限りません。
でも、
この条件では効率が悪化する
この方法では成果が伸びにくい
と分かったことも、次の改善につながる大切な情報です。
広告運用で大切なのは、 結果を成功・失敗だけで判断するのではなく、そこから何を学び、次に何をするかを考えること です。
数字が動いたときに、 「良くなった」「悪くなった」 だけで終わらせない。
「なぜ、この数字になったんだろう?」
「じゃあ、次は何をする?」
この流れを習慣にすると、自分でPDCAを回せるようになります。
この積み重ねが、自分自身でPDCAを回せる広告運用につながっていきます。

