予算を増やしたらCPAが悪化した?|止める前に考えたい広告運用の判断

広告運用の考え方
田中くん
田中くん
佐藤さん、この広告CPAめっちゃ良かったんで、日予算上げてみたんです。
佐藤さん
お、そうなんだ。どれくらいで取れてたの?
佐藤さん
田中くん
田中くん
CPA5,000円で獲得できてたんです。
だから、40,000円に上げたら8件くらい取れるかなと思って、日予算を40,000円まで上げました。
佐藤さん
なるほど。で、予算を上げたあとはどうだった?
佐藤さん
田中くん
田中くん
それが、最初はそこまで変わらなかったんですけど、数日見てたらCPAが7,000円、8,000円って上がってきて……。
田中くん
田中くん
あ、目標CPAを超えてしまう…と思って、いったん止めました。
佐藤さん
あらら・・・💦
ちなみに、CPA以外の数字は見た?
佐藤さん
田中くん
田中くん
いや……CPAしか見てなかったです。
佐藤さん
そっか。じゃあ、予算を増やしたことでCPAがどう動いたのか、
まず数字を分解して見てみよう。
佐藤さん
CPAが悪化したとき、本当に見るべきなのはCPAだけなのか。 一緒に考えてみましょう。
↓

① 広告運用者が陥るワナ|CPAが良かったから予算を増やしたのに…

先ほどの田中くんは、CPA5,000円でCVを獲得できていました。

そこで、 「CPA5,000円なら、日予算40,000円にすれば8件くらい取れるのでは?」 と考えて予算を増やしました。

計算だけを見ると、

CPA 5,000円 × 8件
=
日予算 40,000円

なので、一見すると成立しそうです。

ところが、数日後。

CPAは7,000円、8,000円と上がってきました。

すると今度は、 「予算を増やしたらCPAが悪くなった。目標CPAを超えそうだから止めよう」 と考えてしまいます。

ここには、広告運用で陥りやすい2つの考え方があります。

① CPA5,000円なら、40,000円使えば8件取れるはず

② 予算を増やしてCPAが上がったなら、広告を止めた方がいい

でも、本当にそうなのでしょうか。

まず覚えておきたいのは、 日予算を増やしても、同じCPAを維持したままCVが比例して増えるとは限らない ということです。

そして、もうひとつ大切なのが、 CPAが上がったからといって、それだけで「広告が悪くなった」とは判断できない ということです。

CPAは、広告運用のさまざまな要因が組み合わさった「結果」です。

「CPAが上がった」
で終わらず、
「なぜCPAが上がった?」

広告運用者が陥りやすい、予算を増やせばCVも比例して増えるという思い込みと、CPAが上がったら停止するという思い込み
図解① 広告運用者が陥りやすい2つの思い込み 画像をタップすると拡大できます
佐藤さんからのワンポイントアドバイス
CPAは「結果」。
上がった・下がっただけで判断せず、まず「なぜ?」を考えよう。
佐藤さん

② 本当にそう?|広告費とCV数は比例しない

日予算5,000円でCPA5,000円だった広告を、日予算40,000円まで増やしたとします。

理想としては、

日予算:40,000円
CPA:5,000円
CV:8件

となってほしいところです。

でも実際には、

日予算:40,000円
CPA:8,000円
CV:5件

のような結果になることもあります。

つまり、 広告費を8倍にしたからといって、CV数も8倍になるとは限らない ということです。

日予算40000円で理想はCPA5000円CV8件だが、実際にはCPA8000円CV5件になることもある比較
図解② 予算を8倍にしてもCVが8倍になるとは限らない 画像をタップすると拡大できます

では、 「予算を上げるとCPAは必ず悪化するの?」 というと、これも違います。

予算を増やしてもCPAを維持できる場合もあれば、少し上がる場合もあります。

大切なのは、 「予算を増やせばCVも同じ割合で増える」と決めつけないこと です。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
予算とCVは比例するとは限らない。
「5,000円で1件=40,000円で8件」とは考えないようにしよう。
佐藤さん

③ なぜそうなる?|追加のCVにはコストがかかる

では、なぜ予算を増やすとCPAが高くなることがあるのでしょうか。

ここでは分かりやすく、 「追加のCVを獲得する」 という視点で考えてみます。

日予算5,000円のときに獲得できていたCVだけでは、予算を40,000円にしたときの配信量をまかなえません。

さらにCVを増やすためには、これまで以上に多くの配信機会を探す必要があります。

予算を増やす
↓
より多くの配信機会を探す
↓
ユーザー・時間帯・掲載面・オークションなどの機会が広がる
↓
追加のCVを獲得する
↓
追加CVの獲得コストが高くなることがある
予算増加から配信機会拡大、追加CV獲得、追加CVの獲得コスト上昇までの流れ
図解③ 予算を増やしたときのイメージ 画像をタップすると拡大できます

もちろん、 予算を増やせば必ずCPAが上がる という意味ではありません。

大切なのは、 追加で獲得するCVのコストが、これまでと同じとは限らない ということです。

「最初の1件」と「追加の1件」は同じCPAとは限らない

たとえばイメージとして、

1〜10件目:CPA 5,000円
11〜20件目:CPA 7,000円
21件目以降:CPA 9,000円

となることがあります。

追加CVほど獲得コストが高くなる可能性を示した例
図解④ 追加CVの獲得コストは同じとは限らない 画像をタップすると拡大できます

広告予算を増やすということは、 今まで取れていたCVをそのまま増幅するのではなく、追加のCVを新しく取りにいく と考えると分かりやすくなります。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
予算を増やすのは、今までのCVをそのまま増幅することではない。
新しいCV機会を探しにいく、と考えよう。
佐藤さん

④ 具体例|CPAが上がったとき、何が起きている?

では実際にCPAが悪化したとき、どの数字を見ればよいのでしょうか。

ケース1|CTR・CVRがほとんど変わっていない

CPA CTR CVR
予算変更前 5,000円 2.0% 5.0%
予算変更後 7,000円 2.0% 4.8%

CTRもCVRも大きく変わっていません。

そのため、 「広告クリエイティブが急に悪くなった」 とまでは言い切れません。

CPMやCPC、配信量の変化など、ほかの要因も確認します。

ケース2|CTRが大きく落ちた

CPA CTR
予算変更前 5,000円 2.0%
予算変更後 7,000円 1.0%

この場合は、 広告への反応そのものが弱くなっている可能性 があります。

クリエイティブの訴求、画像、コピー、配信対象との相性などを確認します。

ケース3|CTRは変わらないがCVRが落ちた

CTR CVR
予算変更前 2.0% 5.0%
予算変更後 2.0% 2.0%

広告はクリックされていますが、その後CVしにくくなっています。

この場合は、

LPに問題がないか
広告とLPの内容にズレがないか
流入しているユーザー層が変わっていないか
フォームやオファーに問題がないか
CPA悪化時にCTR、CVR、CPMなどから原因を切り分ける考え方
図解⑤ CPA悪化時の原因切り分け 画像をタップすると拡大できます

大切なのは、 CPAという結果だけを見るのではなく、その結果になった理由を分解して考えること です。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
CPAだけでは原因は分からない。
CTR・CVR・CPMに分解して、「どこが変わった?」を見よう。
佐藤さん

⑤ 私ならどう判断する?|CPAだけでは決めない

CPAが上がったとき、私はCPAだけを見て広告を止める判断はしません。

まず確認するのは、

CPA
CTR
CVR
CPM
CV数
予算変更前後の推移

そして、 「何が変わったことでCPAが上がったのか?」 を考えます。

CPA悪化からCTR、CVR、CPMを確認し原因仮説と次の施策につなげる判断フロー
図解⑥ CPAが悪化したときの判断フロー 画像をタップすると拡大できます

日予算は、一気に上げずに数値を見ながら増やす

成果の良い広告が見つかった場合も、私は一気に大幅な予算変更をするのではなく、 数値を確認しながら段階的に増やす ことがあります。

たとえば住宅広告では、

5,000円
↓
6,000円
↓
7,000円
↓
8,000円

のように、1,000円程度ずつ増やすこともあります。

ただし、 「必ず1,000円ずつ上げるべき」 という意味ではありません。

広告費の規模によって、1,000円の意味は変わるからです。

大切なのは、 一気に大幅な変更をせず、数字の変化を確認しながらスケールすること です。

「CPAが上がった=失敗」とは考えない

予算を増やしていくと、目標CPAや許容CPAを超えることもあります。

たとえば目標CPAが10,000円だったとします。

日予算5,000円 → CPA 5,000円
日予算10,000円 → CPA 7,000円
日予算15,000円 → CPA 9,000円
日予算20,000円 → CPA 12,000円

日予算20,000円まで増やしたところで、目標CPA10,000円を超えました。

では、 「CPA12,000円になったから、この検証は失敗」 なのでしょうか。

この結果からは、

日予算15,000円程度までは目標CPA内で拡大できそう
20,000円まで増やすと現状では効率が悪化しやすい

ということが分かります。

日予算とCPAの推移から目標CPA内で伸ばせる範囲を確認する例
図解⑦ 予算をどこまで伸ばせるかを検証する 画像をタップすると拡大できます

もちろん、許容CPAを超えたまま配信を続けるという意味ではありません。

大切なのは、 「許容CPAを超えた」という結果から、何が分かったのかを考えること です。

たとえば、

この予算帯からCPAが悪化しやすい
今のクリエイティブだけでは、これ以上の拡大は難しいかもしれない
別の訴求を追加すれば、さらにCVを増やせるかもしれない
LPやターゲットを改善すれば、もう一段スケールできるかもしれない

と、次の仮説につなげることができます。

結果を「成功・失敗」だけで終わらせず、次の判断材料に変える。

それが、検証をPDCAにつなげる考え方です。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
CPA悪化も大事な検証結果。
「どこまでなら伸ばせる?」を知る材料に変えよう。
佐藤さん

⑥ NG / OK|「CPAが上がったから停止」でいい?

CPAが上がったときに、

CPAが上がった
↓
広告が悪くなった
↓
広告停止
↓
新しい広告へ

と判断すると、 なぜCPAが上がったのか分からないまま 次へ進んでしまいます。

CPA悪化後に即停止するNG例と、分析、仮説、改善、検証、次のアクションにつなげるOK例
図解⑧ 「CPA悪化→即停止」と「分析→仮説→改善」の違い 画像をタップすると拡大できます

ポイントは、 「CPAが上がった」ではなく、「なぜ上がったのか」「何が分かったのか」まで考えること です。

「最適化」と「検証」も分けて考える

もうひとつ意識したいのが、 「広告成果を最大化するための最適化」と「違いを確認するための検証」は目的が違う ということです。

たとえば、同じ広告グループや広告セットの中に広告A・B・Cを入れると、広告プラットフォームが成果を見ながら配信量を偏らせることがあります。

これは、成果を最大化するための最適化としては便利です。

一方、 「広告Aと広告Bのどちらが良かったのか?」 を比較したい場合は注意が必要です。

広告A:インプレッション20,000 / CV10件
広告B:インプレッション2,000 / CV1件

この場合、CV数だけを見て「広告Aの勝ち」と単純には判断できません。

そもそもの配信量が大きく違うからです。

ABテストをするときは、

写真だけを変える
コピーだけを変える
訴求だけを変える

など、 「何を検証したいのか」を決め、できるだけ比較条件を揃える ことが重要です。

最適化は成果最大化、検証は違いを明らかにして学びを得るという目的の違い
図解⑨ 「最適化」と「検証」の目的の違い 画像をタップすると拡大できます
佐藤さんからのワンポイントアドバイス
止める前に、原因を確認。
「なぜ悪化した?」が分からないまま次へ進まないようにしよう。
佐藤さん

⑦ まとめ|「CPAが上がった」で終わらず、「なぜ?」まで考える

1.広告費とCV数は比例するとは限らない

日予算5,000円で1件獲得できても、40,000円で8件獲得できるとは限りません。

追加のCVを獲得するコストが、これまでと同じとは限らない からです。

2.CPAが上がっただけで広告を止めない

CPAはあくまで「結果」です。

CTR、CVR、CPMなども確認しながら、 なぜCPAが上がったのか を考えます。

3.結果を次の判断につなげる

広告運用では、すべての検証が狙い通りになるとは限りません。

でも、

ここまでは伸ばせる
この条件では効率が悪化する
この方法では成果が伸びにくい

と分かったことも、次の改善につながる大切な情報です。

予算とCVは比例しない、CPAだけで判断しない、検証結果を次のアクションにつなげるという3つのまとめ
図解⑩ 今回のまとめ 画像をタップすると拡大できます

広告運用で大切なのは、 結果を成功・失敗だけで判断するのではなく、そこから何を学び、次に何をするかを考えること です。

数字が動いたときに、 「良くなった」「悪くなった」 だけで終わらせない。

「なぜ、この数字になったんだろう?」
「じゃあ、次は何をする?」

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
結果 → なぜ? → 次はどうする?
この流れを習慣にすると、自分でPDCAを回せるようになります。
佐藤さん
数字の変化を「結果」で終わらせず、次の仮説につなげる。

この積み重ねが、自分自身でPDCAを回せる広告運用につながっていきます。