広告運用はAIに全部任せればいい?|機械学習と人の役割を分けて考える

広告運用設計
田中くん
田中くん
佐藤さん、最近のGoogle広告って、
機械学習(AI)がかなり自動でやってくれますよね。
佐藤さん
そうだね。
じゃあ田中くん、広告運用って機械学習(AI)に全部任せればいいと思う?
佐藤さん
田中くん
田中くん
うーん……。
機械学習(AI)が最適化してくれるなら、その方がいい気もします。
佐藤さん
たしかに、機械学習(AI)が得意なことはたくさんあるよ。
じゃあ逆に、何を目標にするかまで機械学習(AI)が決めてくれるのかな?
佐藤さん
田中くん
田中くん
……あ。
それは人が決めないとダメそうですね。
佐藤さん
そう!
今回は、機械学習(AI)に任せることと、人が決めることを分けて考えてみよう!
佐藤さん
広告運用では、機械学習(AI)と人はそれぞれ何を担当するのでしょうか。 一緒に整理してみましょう。
↓

① 機械学習(AI)は何をしている?|設定された目的に向けて配信を最適化する

Google広告では、 Smart Biddingなどで 機械学習(AI) が使われています。

たとえば飲食店で、

コンバージョン ネット予約完了

を設定し、 入札戦略として CV数最大化 を使っているとします。

この場合、 機械学習(AI)は広告オークションごとに、

この広告機会は予約につながりそう?
この状況ではどのくらい入札する?
どの広告機会を優先する?

といった予測や判断を行いながら、 入札を調整します。

検索・広告オークション
↓
利用できるシグナルを確認
↓
CVにつながる可能性を予測
↓
入札額などを自動調整
↓
設定された目的に向けて最適化
機械学習(AI)が広告配信で行っていること
機械学習(AI)が広告配信で行っていること 画像をタップすると拡大できます

ここで重要なのは、

機械学習(AI)が「何でも自由に考えて広告を運用している」わけではありません。

機械学習(AI)は、 広告主が設定した目標やコンバージョンなどを前提に、 その目的へ近づくように配信を最適化します。

つまり、

機械学習(AI)は「設定されたゴールに向けた細かな配信判断」を得意とする と考えると分かりやすいです。

② 機械学習(AI)が得意なこと|大量のデータから細かな配信判断をする

では、 機械学習(AI)は何が得意なのでしょうか。

一言でいうと、

人が1件ずつ判断するのが難しい
大量かつ細かな配信判断

です。

たとえば、 同じ 「新宿 居酒屋」 という検索でも、

デバイス スマホ?PC?
時間帯 昼?夜?
場所 どこから検索?
検索内容 何を探している?
その他の情報 利用可能なシグナルを組み合わせる

など、 広告オークションごとに状況は異なります。

たとえば、

ユーザーA 新宿 居酒屋

スマホ
平日14時

ユーザーB 新宿 個室 居酒屋 予約

スマホ
金曜19時

この2人に対して、 人が毎回、

Aには120円
Bには320円

のように判断するのは現実的ではありません。

機械学習(AI)は、 こうした大量の広告機会に対して、 オークションごとに予測しながら入札を調整する ことを得意としています。

人が判断するには多すぎる広告機会を機械学習(AI)が判断する
人が判断するには多すぎる広告機会を機械学習(AI)が判断する 画像をタップすると拡大できます

ただし、

細かな配信判断が得意なことと、「何を目標にすべきか」を決められることは別です。

③ 人が決めること|機械学習(AI)に何を目指してもらうかを設計する

機械学習(AI)が細かな配信判断をしてくれるなら、 人は何をするのでしょうか。

人が担うのは、

「何を達成したいのか」「何を成果として機械学習(AI)へ渡すのか」を決めること。

です。

たとえば飲食店でも、

店舗サイトへのアクセスを増やしたい
ネット予約を増やしたい
電話予約を増やしたい
宴会予約の売上を増やしたい

では、 広告の目的が違います。

人が決める 方向を決める

事業目標
広告目標
CV設計
計測設計
予算
入札戦略
訴求・クリエイティブ
結果の評価

機械学習(AI)が行う 細かな配信判断

シグナルを分析
CV可能性を予測
オークションごとに判断
入札額を調整
設定された目的へ最適化

機械学習(AI)と人の役割分担
機械学習(AI)と人の役割分担 画像をタップすると拡大できます

つまり、

機械学習(AI)に任せる前に、「何をゴールとして渡すか」を人が設計する 必要があります。

④ 目標を決めるのは人|何を増やすべきかは事業によって違う

たとえば、 同じ飲食店でも、 事業上の課題によって目標は変わります。

A店 ネット予約数を増やしたい
B店 宴会予約の売上を増やしたい
C店 平日夜の空席を埋めたい
同じ飲食店でも事業目標によって広告のゴールが変わる
同じ飲食店でも事業目標によって広告のゴールが変わる 画像をタップすると拡大できます

同じ 「予約を増やす」 でも、 本当に増やしたいものは違います。

機械学習(AI)は、 広告主が設定した目的に向けて最適化できます。

しかし、

この会社にとって
一番重要な成果は何?

という事業上の目的を、 機械学習(AI)が自動的に正しく決めてくれるわけではありません。

だから人が、

売上を増やしたい?
利益を増やしたい?
新規予約を増やしたい?
平日の稼働率を上げたい?

と考え、 広告のゴールへ落とし込みます。

機械学習(AI)は目的に向けて最適化する。何を目的にするかは人が決める。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
広告設定の前に「会社として何を増やしたい?」を確認!
事業目標から広告のゴールを決めよう!
佐藤さん

⑤ CVを決めるのは人|機械学習(AI)に何を「成果」として渡す?

機械学習(AI)を活用するうえで、 特に重要なのが コンバージョン設計 です。

たとえば飲食店で、 次の行動を計測できているとします。

01 店舗ページ閲覧
02 メニューページ閲覧
03 予約ボタンクリック
04 予約フォーム到達
05 予約完了

ここで、 どの行動を機械学習(AI)に増やしてほしい成果として渡すのか は非常に重要です。

予約完了を最適化対象 予約完了を増やす

最終的な予約獲得に近いゴールを渡す

予約ボタンクリックを最適化対象 ボタンクリックを増やす

予約完了ではなく、 中間行動を増やす方向へ最適化

どのCVを最適化対象にするかで機械学習(AI)のゴールが変わる
どのCVを最適化対象にするかで機械学習(AI)のゴールが変わる 画像をタップすると拡大できます

たとえば、 本当に増やしたいのは 予約完了 なのに、

店舗ページを10秒見た

という行動を主要な最適化対象としていたら、 機械学習(AI)はその行動を増やす方向へ配信を最適化する可能性があります。

もちろん、 中間行動をmCVとして活用することが有効なケースもあります。

ただし、

「計測できるからCVにする」ではなく、「何を増やしたいか」からCVを設計する。

ことが重要です。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
機械学習(AI)に渡すCVは超重要!
「取れる数字」ではなく、「増やしたい成果」から決めよう!
佐藤さん

⑥ 機械学習(AI)は配信を最適化する|細かな判断は機械学習(AI)に任せる

目標やCVが決まったら、 機械学習(AI)はその設定をもとに 配信を最適化します。

たとえば、

目標 ネット予約を増やす
CV 予約完了
入札戦略 CV数最大化

と設定したとします。

機械学習(AI)は広告機会ごとに、

この検索は予約につながりそう?
この状況ではCVしやすそう?
どのくらい入札する?
どの広告機会を優先する?

といった予測をしながら、 オークションごとの入札を調整します。

人が目標を設定
↓
CVを設定
↓
入札戦略を設定
↓
機械学習(AI)
↓
オークションごとに予測
↓
入札・配信を調整
↓
配信結果が蓄積
人が設定したゴールを機械学習(AI)が配信へ反映する流れ
人が設定したゴールを機械学習(AI)が配信へ反映する流れ 画像をタップすると拡大できます

ここで注意したいのが、 機械学習(AI)が動いているから、人は何も変更してはいけない という意味ではないことです。

逆に、 自動入札だからといって、

毎日のように入札戦略を変更する
目標CPAを大きく変更する
CV設定を頻繁に変更する
予算を大きく上下させる

といった変更を繰り返すと、 何が成果に影響したのか評価しにくくなる ことがあります。

大切なのは、

触る?触らない?
ではなく
「今、何が起きている?」

から判断することです。

細かな配信判断は機械学習(AI)に任せ、人は問題が起きている場所を見つけて必要な改善を判断する と考えると分かりやすくなります。

⑦ 結果を評価するのは人|広告成果が事業成果につながった?

最後に大切なのが、

機械学習(AI)が出した結果を、事業として評価するのは人。

ということです。

たとえば、 機械学習(AI)によって 予約数が増えたとします。

予約数 100件 → 130件
CPA 5,000円 → 4,000円

広告指標だけを見ると、 改善しているように見えます。

でも、 実際には、

1名予約ばかり増えて利益が少ない
割引利用の予約ばかり増えた
宴会予約が減った
欲しい客層と違う予約が増えた

という可能性もあります。

たとえば、

広告上 予約数130件

CPA 4,000円

事業側 平均予約売上が低下

20,000円 → 8,000円

だったら、

本当に良い改善だった?

と考える必要があります。

広告成果が良くても事業成果が良いとは限らない
広告成果が良くても事業成果が良いとは限らない 画像をタップすると拡大できます

最終的には、

売上は増えた? 利益は増えた? 客単価はどうなった? 欲しい顧客が増えた? 店舗の稼働率は改善した?

など、 事業側の数字までつなげて評価します。

機械学習(AI)に全部任せる?人が全部操作する?|どちらでもない

ここまで整理すると、 広告運用は、

極端な考え方① 全部、機械学習(AI)に任せる
極端な考え方② 全部、人が細かく操作する

のどちらでもありません。

人 方向を決める

何を目指す?
何をCVにする?
何をテストする?
どう評価する?

機械学習(AI) 細かな配信を最適化

データを分析
CV可能性を予測
オークションごとに判断
入札を調整

機械学習(AI)と人の役割分担まとめ
機械学習(AI)と人の役割分担まとめ 画像をタップすると拡大できます

人は「方向」を決める。機械学習(AI)は「その方向へ進むための細かな配信判断」をする。

機械学習(AI)に任せる前に確認したいこと

機械学習(AI)を活用した広告運用で成果を出したいなら、

機械学習(AI)があるから大丈夫

ではなく、 まず土台を確認します。

① 事業目標は決まっている?
↓
② 広告の目的は決まっている?
↓
③ CVは適切?
↓
④ 正しく計測できている?
↓
⑤ 入札戦略は目的に合っている?
↓
⑥ 必要なデータを渡せている?
↓
⑦ 事業成果まで評価できている?
機械学習(AI)に任せる前の確認項目
機械学習(AI)に任せる前の確認項目 画像をタップすると拡大できます

この土台がズレていれば、 機械学習(AI)が間違ったことをしているのではなく、

人が設定したゴールに向けて、機械学習(AI)が正しく最適化している ということもあります。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
機械学習(AI)に任せる前の設計が大事!
目標・CV・計測を整えて、正しい方向へ最適化できる状態を作ろう!
佐藤さん
機械学習(AI)は配信を最適化する。何を目指し、その結果をどう評価するかは人が決める。

広告運用における機械学習(AI)は、 人の代わりにすべてを考えてくれる存在ではありません。

人 何を目指す?

事業目標
CV設計
計測
訴求
最終評価

機械学習(AI) どう配信する?

データ分析
CV可能性の予測
入札判断
配信最適化

機械学習(AI)と人の役割まとめ
機械学習(AI)と人の役割まとめ 画像をタップすると拡大できます

大切なのは、

機械学習(AI)に任せる?
人がやる?

という二択ではありません。

何を機械学習(AI)に任せ、何を人が判断するのかを分ける ことです。

広告運用者の役割は、 設定をたくさん変更することではありません。

機械学習(AI)が正しい方向へ最適化できるように、目標・データ・環境を設計し、その結果を評価する ことが重要です。

だから、

機械学習(AI)は配信を最適化する。何を目指し、その結果をどう評価するかは人が決める。

これが、 機械学習(AI)を活かした広告運用の基本です。