広告運用は行動量じゃない|少ない手数で最大の成果を出すテスト設計

戦略・目標設計
田中くん
田中くん
佐藤さん、今週かなり改善しました!
佐藤さん
お、何をやったの?
佐藤さん
田中くん
田中くん
バナーを10本作って、コピーも30案考えて、LPも3本作りました!
田中くん
田中くん
これだけやれば、成果も上がりますよね!
佐藤さん
かなり動いたね。
ちなみに、今どこが一番数字を落としているか分かる?
佐藤さん
田中くん
田中くん
え……。
佐藤さん
CTRはどう?
佐藤さん
田中くん
田中くん
悪くないです。
佐藤さん
CVRは?
佐藤さん
田中くん
田中くん
かなり低いです……。
佐藤さん
じゃあ、バナーを10本作ることが、本当に一番優先だったのかな?
佐藤さん
佐藤さん
田中くんの場合は、何から手をつけるのが良かったんだろう?
佐藤さん
田中くん
田中くん
たしかに……。何から考えればよかったんでしょう?
では、どうするのが良かったのか。 一緒に考えてみましょう。
↓

① 広告初心者が陥るワナ|「たくさん施策をやる=良い運用」になっていない?

広告成果が悪いと、

「もっとバナーを作ろう」
「コピーを増やそう」
「LPも作り直そう」
「ターゲットも変えよう」

と、施策をどんどん増やしたくなることがあります。

なぜなら、 行動量は目に見えやすいから です。

たとえば今週の実施内容が、

バナー10本制作
コピー30案作成
LP3本作成
ターゲット5パターン追加

と並んでいれば、かなり改善しているように見えます。

でも、ここで一度考えてみます。

その施策は、本当に今いちばん成果を止めている場所に対する施策?

たとえばCTRは十分高い。

でもLPに遷移したあとのCVRが低い。

そんな状態なら、広告クリエイティブを大量に追加しても、成果へのインパクトは小さいかもしれません。

目的、現状、ボトルネック、原因仮説、優先順位、最小テスト、結果、学習の順に広告改善を考える流れ
図解① 成果に近づくテスト設計の流れ 画像をタップすると拡大できます
成果が悪いときにバナー、コピー、LP、ターゲットを増やす前に本当のボトルネックを確認する考え方
図解② 施策を増やす前に考えること 画像をタップすると拡大できます

ここで大切なのは、 行動量が多いか少ないかではなく、その行動が成果につながる場所に向いているか です。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
たくさん動く前に「今どこが一番悪い?」をチェック!
成果を止めている場所に向けて、手を動かそう!
佐藤さん

② 本当にそう?|施策を増やせば成果も増える?

たくさんテストをすると、その中から当たりが見つかりそうに感じます。

もちろん、ある程度のテスト数が必要な場面もあります。

でも、むやみにテスト数を増やすと別の問題も起こります。

バナー5本
×
コピー5案
×
LP3本
=
75パターン

仮にテスト予算が30万円なら、単純計算で1パターンあたり約4,000円です。

これでは、十分なデータが集まる前に予算が分散してしまう可能性があります。

さらに、複数の要素を同時に変えると、成果が改善したとしても、 「何が効いたのか」 が分かりません。

バナー5本、コピー5案、LP3本を組み合わせると75パターンになりテスト予算が分散する例
図解③ 施策を増やしすぎる問題 画像をタップすると拡大できます

広告運用で大切なのは、テスト数を増やすことではありません。

「何を確かめるためのテストなのか」を明確にすること が重要です。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
テスト数が多ければいいわけじゃないよ!
「何を知りたい?」を決めてから、必要なテストだけやってみよう!
佐藤さん

③ なぜそうなる?|まずボトルネックを見つける

では、テストは何から始めればいいのでしょうか。

まず考えたいのは、

「何をテストしたい?」ではなく
「何が成果を一番止めている?」

という視点です。

STEP1|目的を確認する

最初に、何を増やしたいのかを確認します。

CV?
売上?
予約?
問い合わせ?

たとえば目的が「予約数を増やす」なら、CTRを高くすること自体が目的ではありません。

最終的に、 予約が増えること が目的です。

STEP2|現状の数字を見る

次に、どこで数字が落ちているかを見ます。

広告表示、クリック、LP閲覧、予約フォーム、予約完了までの流れを分解して数字を見る図
図解④ 成果を分解して見る 画像をタップすると拡大できます

STEP3|ボトルネックを特定する

目標CTR:2.0%
現状CTR:2.0%

目標CVR:1.0%
現状CVR:0.5%

CTRは目標を達成しています。

一方でCVRは目標の半分です。

この場合、今もっとも改善インパクトが大きい可能性があるのは、 広告クリエイティブではなく、クリック後 です。

CTRは目標達成、CVRは目標未達のためCVR側をボトルネック候補と考える例
図解⑤ ボトルネックを見る 画像をタップすると拡大できます

STEP4|原因仮説を出す

ボトルネックが分かったら、次に 「なぜそこで落ちている?」 を考えます。

広告とLPの訴求がズレている?
LPを見ても魅力が伝わらない?
料金が分かりにくい?
フォーム入力項目が多い?
広告で集めているユーザーの意向が低い?
予約するメリットが弱い?
CVRが低い原因として広告とLPのズレ、魅力不足、料金、フォーム、ユーザー意向など複数の仮説を出す図
図解⑥ ボトルネックから原因仮説を広げる 画像をタップすると拡大できます

大切なのは、 「CVRが低いからLPを変える」で終わらず、「なぜCVRが低い?」まで考えること です。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
まずボトルネック!次に「なぜ?」!
数字が悪い場所を見つけたら、その原因をひとつ深掘りしてみよう!
佐藤さん

④ 具体例|バナーを10本作る前に確認したいこと

たとえば、飲食店の予約広告を配信していたとします。

目的は、 ネット予約数を増やすこと です。

広告費:200,000円
CTR:2.0%
CVR:0.5%
CPA:20,000円

目標CVR:1.0%
目標CPA:10,000円

成果が悪いため、 「新しいバナーを10本作ろう」 という案が出ました。

でも数字を見ると、CTRは悪くありません。

一方でCVRは目標の半分です。

つまり、今のボトルネックは、 広告をクリックしてもらうことではなく、クリックした人を予約につなげること かもしれません。

広告では、 「子ども連れでも安心の個室ランチ」 と訴求しています。

ところがLPを開くと、最初に表示されるのは、

シェフの紹介
料理へのこだわり
店舗の歴史

個室についての情報は、かなり下までスクロールしないと出てきません。

ここで、ひとつの仮説が生まれます。

「広告で期待した内容と、LPを開いた直後の内容がズレているから離脱しているのでは?」

では、何をテストする?

ここでLP全部を作り直す必要はありません。

まず、 仮説を確かめるために必要な最小の変更 を考えます。

たとえば、LPのファーストビューだけを 「子ども連れでも安心の個室ランチ」 に変更します。

その他の条件は、できるだけ変えません。

LP全体を変更せず広告とLPの訴求ズレを確かめるためにファーストビューだけを変更する最小テストの例
図解⑦ 大きく変える前に最小テスト 画像をタップすると拡大できます

その結果、CVRが 0.5% → 0.8% に改善したとします。

すると、

「広告とLPのメッセージ一致がCVRに影響していた可能性が高い」

という学びが得られます。

つまり、テストとは施策を増やすことではありません。

仮説をひとつずつ確かめ、成果に近づいていくこと です。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
いきなり全部作り直さなくてOK!
仮説を確かめられる「一番小さな変更」から試してみよう!
佐藤さん

⑤ 私ならどう判断する?|少ない手数で成果につなげる8ステップ

STEP1|目的を確認する

まず、何を増やしたいのかを明確にします。

STEP2|現状を数字で分解する

CTR、CPC、CVR、CPA、CV数などを見ながら、どこで数字が落ちているかを確認します。

STEP3|ボトルネックを決める

全部を改善しようとせず、 一番成果を阻害している場所 を決めます。

STEP4|「なぜ?」を考える

ボトルネックに対して、複数の原因仮説を出します。

STEP5|優先順位をつける

仮説を全部同時に試すのではなく、優先順位をつけます。

成果への影響が大きそう?
仮説の確からしさは高そう?
少ない工数・予算で試せる?
仮説 成果への影響 確からしさ テストコスト 優先度
広告とLPの訴求を合わせる 大 高 小 高
フォームを全面改修 大 中 大 中
ターゲットを全部変更 中 低 中 低
成果への影響、仮説の確からしさ、テストのしやすさから優先順位を決める図
図解⑧ 仮説の優先順位 画像をタップすると拡大できます

STEP6|最小のテストを設計する

その仮説を確かめるために、本当に必要な変更は何かを考えます。

コピーの違いを見たい → 画像まで変えない
画像の違いを見たい → コピーまで変えない

つまり、 検証軸をできるだけ1つにする ことが重要です。

STEP7|結果を見る

CVRは上がったか。
CPAは下がったか。
CV数は増えたか。

目的に近づいたかを確認します。

STEP8|何が分かったかを言葉にする

最後に、

「このテストから何が分かった?」

を整理します。

広告で個室を訴求したユーザーには、
LPでも最初に個室情報を見せた方が予約につながりやすかった

まで言語化します。

これが、次のテストにも使える 学習 になります。

目的、現状、ボトルネック、原因仮説、優先順位、最小テスト、結果、学習から次の仮説につなげる流れ
図解⑨ 少ない手数で成果につなげる流れ 画像をタップすると拡大できます
佐藤さんからのワンポイントアドバイス
成果への影響が大きいところから試そう!
「小さく試す → 学ぶ → 次へ」の流れを作れると強いよ!
佐藤さん

⑥ NG / OK|施策をたくさんやる運用と、ボトルネックから考える運用

NG|とにかく施策を増やす

成果が悪い
↓
バナーを増やす
↓
コピーも増やす
↓
LPも変える
↓
ターゲットも変える
↓
成果が変化
↓
何が効いたか分からない

OK|ボトルネックから考える

目的を確認
↓
数字を分解
↓
ボトルネックを特定
↓
「なぜ?」を考える
↓
仮説を出す
↓
優先順位をつける
↓
最小テスト
↓
結果を見る
↓
学習する
バナーやコピーを大量に作る運用と、目標、数字、ボトルネック、原因仮説から一番効きそうな箇所を改善する運用の比較
図解⑩ 施策をたくさんやる運用 vs ボトルネックから考える運用 画像をタップすると拡大できます

広告運用では、行動量が多いことよりも、 ひとつひとつの施策に理由があること の方が重要です。

手数を増やすのではなく、成果に近づく一手を増やす。
佐藤さんからのワンポイントアドバイス
「何個やった?」より「なぜこれをやった?」!
ひとつひとつの施策に、ちゃんと理由を持たせよう!
佐藤さん

⑦ まとめ|手数を増やすのではなく、成果に近づく一手を増やす

1.広告運用の目的は、施策をたくさん実行することではない

バナーを何本作った。
コピーを何案作った。
LPを何本作った。

という行動量は、それ自体が成果ではありません。

目的は、 CVや売上を増やすこと です。

2.まず「一番成果を止めている場所」を探す

広告が悪い。
LPが悪い。
ターゲットが悪い。

と決めつけず、数字を分解します。

そして、 どこが一番のボトルネックなのか を見つけます。

3.大きく変える前に、最小のテストをする

LP全部を作り直さなくても、ファーストビューだけ変えれば確認できるかもしれません。

10本のバナーを作らなくても、2パターンで十分かもしれません。

大切なのは、 できるだけ少ない変更で仮説を確かめること です。

4.テストの目的は「学習すること」

CPAが下がった。
CVRが上がった。

で終わらせません。

なぜ良くなった?
何が分かった?

まで考えます。

CVや売上という目的から、ボトルネック、原因仮説、最小テスト、結果、学習、次の一手までを整理したまとめ
図解⑪ 成果につながる広告運用の考え方 画像をタップすると拡大できます

広告運用では、たくさん動いている人が、必ずしも成果を出すとは限りません。

大切なのは、 ゴールに近づくために、どの一手を打つべきか考えること です。

10個の施策を何となく実行するより、一番大きなボトルネックを見つける。

そして、一番可能性の高い仮説を、最小の変更で確かめる。

その結果から学び、次の一手を考える。

広告運用は、 行動量を競う仕事ではありません。

考えて、優先順位を決めて、成果への距離を縮める仕事です。

だから私は、施策を考えるとき、

「何ができる?」
ではなく
「今、一番成果を止めているものは何?」

から考えます。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
「たくさんやる」より「一番効くところをやる」!
ボトルネックを見つけて、少ない手数で成果に近づいていこう!
佐藤さん
手数を増やすのではなく、成果に近づく一手を増やす。

これが、限られた予算や時間の中で成果を出すための、テスト設計の基本だと考えています。