なぜ広告の機械学習にCVデータが必要なの?|機械学習(AI)は何を学習しているのか

広告運用設計
田中くん
田中くん
佐藤さん、前回は機械学習(AI)が、
検索内容や時間帯、端末みたいなシグナルを見ているって話でしたよね。
佐藤さん
そうだね。
じゃあ田中くん、それだけで機械学習(AI)は 「この広告配信が良かった」って分かるかな?
佐藤さん
田中くん
田中くん
うーん……。
どんな状況だったかは分かっても、そのあと予約したかどうかまでは分からないですよね。
佐藤さん
その通り。
だから必要になるのが、CVデータなんだ。
佐藤さん
田中くん
田中くん
CVって、広告の成果を確認するための数字だと思っていました。
佐藤さん
もちろん成果確認にも使うよ。
でも、それだけじゃない。今回は、CVデータが機械学習(AI)に何を伝えているのかを考えてみよう!
佐藤さん
CVは、広告の成果を確認するためだけの数字ではありません。 なぜ機械学習(AI)にCVデータが必要なのか、一緒に考えてみましょう。
↓

① CVデータとは|「広告の先で何が起きたか」を記録する

CVとは、広告をクリックしたあとにユーザーが行った、 成果として計測したい行動 です。

たとえば飲食店なら、

予約完了
電話発信
問い合わせ完了

通販なら、

商品購入
定期購入
会員登録

住宅会社なら、

来場予約
資料請求
問い合わせ

などが考えられます。

つまりCVデータとは、

広告を見た・クリックしたあと、その広告機会の先で何が起きたのかを記録するデータ。

広告表示からクリック、サイト訪問、予約完了までのCVデータの流れ
CVデータとは 画像をタップすると拡大できます

② 成果計測だけではない|CVデータは機械学習(AI)の判断材料になる

CV計測には、 広告の成果を確認する という役割があります。

たとえば、

広告費:100,000円
CV:10件
↓
CPA:10,000円

これは、人が広告成果を評価するときの使い方です。

しかし、CVを重視して最適化する広告配信では、 CVデータにはもうひとつ重要な役割があります。

「どんな広告機会の結果、成果につながったのか」を機械学習(AI)へ伝える。

シグナルが状況を表しCVデータがその結果を表す関係
シグナルだけでは結果が分からない 画像をタップすると拡大できます

前回の記事で見た検索内容・端末・時間帯・地域などのシグナルが、 「そのときの状況」 だとすれば、

CVデータは「その状況の結果、成果につながったのか」を伝える材料 です。

③ 「CVした・しなかった」という結果|予測には結果とのつながりが必要

たとえば、次の2つの広告機会があったとします。

広告機会A 新宿 居酒屋

平日14時
PC
結果:予約なし

広告機会B 新宿 個室 居酒屋 予約

金曜19時
スマートフォン
結果:予約あり

このとき重要なのは、

Bはスマホだから良かった

と単純に考えることではありません。

機械学習(AI)は、 検索内容・時間帯・端末・地域などの条件と、 その結果CVしたのか、しなかったのか との関係を判断材料にします。

広告機会ごとの条件とCVしたしなかった結果を組み合わせて見る考え方
「条件」と「結果」をセットで見る 画像をタップすると拡大できます

機械学習(AI)に必要なのは、「どんな状況だったか」だけではなく、「その結果どうなったか」です。

④ 機械学習(AI)が共通点を探す|「CVした人は30代女性」では終わらない

では、CVデータが蓄積されると、 機械学習(AI)は何を見るのでしょうか。

たとえば100件の広告クリックがあり、 そのうち10件がCVしたとします。

このとき、

CVした10人だけを見る

という単純な考え方ではありません。

それぞれの広告機会で利用できる、

検索内容
デバイス
地域
時間帯
過去の接点
その他利用可能なシグナル

などと、 CVした・しなかったという結果 の関係を判断材料にします。

検索内容や時間帯や端末など複数条件とCV結果からパターンを探す機械学習
機械学習(AI)は条件の組み合わせを見る 画像をタップすると拡大できます

つまり、

30代女性だからCVする
スマートフォンだからCVする

と決めているわけではありません。

複数の条件と結果の関係から、次の広告機会で成果が起きる可能性を予測する と考えます。

⑤ 正しいCV設定|機械学習(AI)に「何を増やしてほしい?」を伝える

ここからが、広告運用者にとって特に重要です。

たとえば住宅会社で、

本当に増やしたい成果 来場予約

だったとします。

一方、Webサイトではさまざまな行動を計測できます。

ページ閲覧
↓
施工事例閲覧
↓
来場予約ボタンクリック
↓
フォーム到達
↓
来場予約完了

では、これらを全部同じ成果として考えてよいでしょうか。

もちろん違います。

計測できる行動と最終的に増やしたい来場予約の違い
計測できる行動と増やしたい成果 画像をタップすると拡大できます

「計測したいもの」と「機械学習(AI)に増やしてほしいもの」は、同じとは限りません。

広告管理画面で計測している行動が、 すべて同じように入札最適化へ使われるとは限りません。

だからこそ、

「何を計測するか」と「何を最適化対象として渡すか」を分けて考える 必要があります。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
「計測できるからCVにする」ではなく、「何を増やしてほしい?」から考えよう!
佐藤さん

⑥ 間違ったCVを渡す危険|機械学習(AI)が正しく動いても成果がズレる

ここはとても重要です。

たとえば住宅会社で、

本当に増やしたい成果 来場予約完了
最適化している成果 予約ボタンクリック

になっていたとします。

すると機械学習(AI)は、

予約ボタンをクリックしやすい広告機会を増やそう

という方向へ最適化する可能性があります。

しかし、

ボタンをクリックする人
=
来場予約を完了する人

とは限りません。

本当のゴールと異なるCVを最適化すると成果がずれる流れ
間違ったCVを渡したとき 画像をタップすると拡大できます

この場合、 機械学習(AI)が失敗しているのでしょうか。

そうとは限りません。

設定された目標に対しては、 正しく最適化している可能性があります。

機械学習(AI)が正しく動いていても、目標設定がズレていれば、事業として欲しい成果とは違う方向へ最適化される。

だからこそ、 何を成果として機械学習(AI)へ渡すかは、人が決める必要があります。

「mCVを増やせば学習しやすい」はどう考える?

CVが少ないとき、

もっと発生しやすいmCVを設定すればいい

と考えることがあります。

たとえば、

最終CV 来場予約完了
mCV 予約ボタンクリック

のようなケースです。

確かに、最終CVよりmCVの方が件数は増えやすいでしょう。

しかし、

件数が多い=良い学習材料、ではありません。

mCVは件数の多さだけでなく最終CVとの関係で判断する
mCVは「数が多い」だけで選ばない 画像をタップすると拡大できます

たとえば、

mCV:100件
↓
最終CV:10件
↓
mCV → 最終CV率:10%

だったとします。

見るべきなのは、 mCVが何件取れたか だけではありません。

そのmCVが、本当に最終CVへ近づいていることを示す行動なのか を見る必要があります。

⑦ 最適化につなげる|CVデータが次の入札判断に使われる

ここまでの流れをつなげてみましょう。

広告オークション発生
↓
検索・時間・端末・地域などのシグナル
↓
CVにつながる可能性を予測
↓
入札
↓
広告クリック
↓
CVした/しなかった
↓
結果データが蓄積
↓
次の予測・入札判断へ
CVデータが次の機械学習と入札判断につながる流れ
CVデータが最適化につながる流れ 画像をタップすると拡大できます

これが、 CVデータが機械学習(AI)に必要な理由 です。

CV数が少ないなら、何でもCVに追加すればいい?

CVデータが少ないと聞くと、

ページ閲覧もCVにしよう
フォーム到達もCVにしよう
ボタンクリックもCVにしよう

と考えたくなるかもしれません。

でも、大切なのは、 CV数を増やすこと ではありません。

良い判断材料を増やすことです。

だから、

CVが少ない
↓
とりあえず何でもCVにする

ではなく、

CVが少ない
↓
最終成果につながる適切な中間行動はある?

と考える方が自然です。

人がやるべきこと|機械学習(AI)に良い結果データを返せる環境を作る

機械学習(AI)が広告配信を最適化してくれるなら、 人は何をするのでしょうか。

重要なのは、 AIの代わりに細かく入札すること ではありません。

人が整える 良い判断材料を渡す

何を事業成果にする?
何をCVにする?
何を最適化対象にする?
計測は正しい?
CVの質はどう?

機械学習(AI)が行う シグナルと結果から予測する

シグナルを確認
成果可能性を予測
入札判断
結果を蓄積
次の判断へ

人がCVや計測を整え機械学習AIが予測と入札を行う役割分担
人が整えるもの 画像をタップすると拡大できます

人がやるべきなのは、機械学習(AI)を細かく操作することではなく、良い判断材料を渡せる環境を作ること です。

佐藤さんからのワンポイントアドバイス
CV数を増やす前に、「そのCVを増やして本当に事業成果につながる?」を確認しよう!
佐藤さん

まとめ|CVデータは「成果の記録」であり「次の予測材料」でもある

CVデータは、 広告成果を確認するための数字 だけではありません。

機械学習(AI)を使った広告運用では、

「どんな広告機会の結果、成果が発生したのか」を機械学習(AI)へ伝える材料でもあります。

シグナルとCVデータから次の広告機会を予測する機械学習AIの流れ
CVデータの役割まとめ 画像をタップすると拡大できます

だからこそ、 ただCVタグを設置すればよいわけではありません。

何をCVにする?
何を最適化対象にする?
そのCVは本当に事業成果につながっている?

まで考える必要があります。

機械学習(AI)は、渡された結果から成果につながるパターンを予測する。だからこそ、人が「何を成果として渡すか」を正しく設計する。

これが、 CVデータを考えるときの基本です。